- 著 森橋 ビンゴ/
- 販売元/出版社 エンターブレイン
- 発売日 2007-02-28
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同時に二冊、しかも一つは四六判ときては、これはいよいよブレイクの兆しが見えてきたな、と思ったのですが、あとがきを読むとどうもそうでもなく、なんだかローソクの最後のきらめきのような気配さえ漂ってきて相変わらずハラハラさせるあとがきを書く人ですよ。
もっとも、ずっとこんなあとがきを読んできた身としては、これでなくっては森橋ビンゴとは言えないよ、ああいつもの森橋ビンゴで安心したと思うくらいにもなってきたりもするわけです。そんな気分になるものうじうじと悩んでいるわりにはルサンチマンがないところで、これがルサンチマン丸出しだったらとうの昔に読むのを止めていましたよ。
とまあ、そんなことはどうでも良くって、問題なのはこれが森橋ビンゴの全力発揮、いや、森橋ビンゴの考えるところの文学だということです。いつもの癖であとがきから読んだからまだ良かったものの、本文を読み終えてからあとがきを読むという普通の読み方をした場合、今さっき読み終えた物が森橋文学だなんて言われた日にはびっくりするだろうなあ。先にあとがきを読んでいても驚いたけど。
じゃあまったく駄目なのかというとそんなことはなく、いきなりそんなことを語られるんで驚いただけです。
それもそのはず、表面的な物語だけ取ってみれば特別目新しい物など何もなく、ある意味非常に陳腐で一般受けなどしそうもありません。語られていることの本質はいつも一緒で、何を書くかというよりも、どのように書くかの方にしか興味がないようにも見えます。
今回はただひたすらに饒舌。
ページの下半分は真っ白だなどと言われるライトノベルの世界において、これほどまでにページが活字で埋められた物語というのはなかなか珍しい部類に入るんじゃないかな。改行無しで一文字も空いた部分のないページが何ページも存在するのは見ていて壮観、感動すら覚えます。
だから、というわけでもないんだけど、次はこれ以上のものを書いてくれそうな気がするんですよ。
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