ひとめあなたに…

ひとめあなたに…
新井 素子
終末のフール」で新井素子の「ひとめあなたに…」に触れておきながら未読だったのがずっと気になっていて、探し求めて読み終えました。実を言うとこれが初新井素子。
私の年代で新井素子の洗礼を全く受けなかったというのも珍しい部類に入るのかも知れなかったけれども、チェックは入れながらも読む気になれなかったのだから仕方ありません。
一週間後に隕石が地球にぶつかって人類はどうあがいても助からないらしい。主人公は恋人に会うために江古田から鎌倉まで向かう。その合間に四人の女性の物語が語られ、主人公はそれぞれの物語の最後で少しだけ関わり合いを持つ。
主人公の物語よりも合間に語られる四人の女性の物語がなんとも凄惨というか痛々しい。隕石が地球にぶつかって人類が滅亡するということがある種の引き金となって狂気へ陥る物語ばかりなのです。
とくに最初のエピソード、あなたのためのチャイニーズスープは衝撃的。荒井由美の歌をこんな風にもってくるとは、といっても元歌もよくよく考えてみれば怖い内容でもあるけどさ。
まあ、この手の話にある程度は耐性のついた今読んで良かったよ。耐性の無い頃に読んでいたらトラウマになっていただろうなあ。女性だからこそ受ける狂気の類だからなおさらです。

コメント

  1. ユキノ より:

    新井素子の洗礼をうけたクチです。
    昔は素子姫なんていわれてました。
    チャイニーズスープの話は学生だったので
    理解不能ながらも強いインパクト感じました。
    怖かったので忘れられない作品です。
    素子さんは「グリーンレクイエム」がおすすめ。
    やさしい感じのSF小説です。

  2. Takeman より:

    ユキノさんは洗礼をうけたクチでしたか。
    「グリーンレクイエム」は評価の高い作品ですよね。
    実は2月に出た自選作品集に収録されていたので、この間読んだんですよ。

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