マイケル・イネス著/今井 直子訳
今は無き社会思想社の現代教養文庫から出ていた「ある詩人への挽歌」を読みのがしてしまったことで、出鼻をくじかれてしまったような気がしてなんとなく読まずにきてしまったマイケル・イネスにようやく手を出すことが出来ました。
「ストップ・プレス」だ出たときに、これを機会に手を出すこととしようと思ったのですが、その厚さにひるんで断念。「アララテのアプルビイ」の時も同じ思いになったのですが、ミステリ好きとしては、ほぼ同じ時期に出たこちらの方がグッとくる物がありました。
そりゃ、なんといっても隕石で圧死という派手な事件を持ってこられてはたまりませんよ。泡坂妻夫の「乱れからくり」よりも先に隕石という凶器を用いていたなんて凄いなあ。もっとも「乱れからくり」の場合は本当に降ってきた隕石が偶然にぶちあたって死んでしまうので凶器というよりも派手な演出に過ぎませんが……。
犯行目的の凶器としてでは都筑道夫の「小梅富士」がまあそれに近いところで、こちらは隕石ではなく富士山の形に似た巨石。その他にもまだあったような気がするけど……年のせいか思い出せないなあ。
しかし派手な事件のわりには話の展開はのんびりというか諧謔的で、サスペンス風味はまったくありません。ある意味、事件と展開の間に凄いギャップがありすぎではありますが、読んでいるうちにそんな雰囲気にすっかり飲み込まれてしまうのもまた事実。
とはいえ終盤の多重解釈はなかなか凄まじいものがあって謎解きとしても満足できる結末なんだけれども、今の時代にはちょっと受けない話かもしれないなあ。
「ストップ・プレス」だ出たときに、これを機会に手を出すこととしようと思ったのですが、その厚さにひるんで断念。「アララテのアプルビイ」の時も同じ思いになったのですが、ミステリ好きとしては、ほぼ同じ時期に出たこちらの方がグッとくる物がありました。
そりゃ、なんといっても隕石で圧死という派手な事件を持ってこられてはたまりませんよ。泡坂妻夫の「乱れからくり」よりも先に隕石という凶器を用いていたなんて凄いなあ。もっとも「乱れからくり」の場合は本当に降ってきた隕石が偶然にぶちあたって死んでしまうので凶器というよりも派手な演出に過ぎませんが……。
犯行目的の凶器としてでは都筑道夫の「小梅富士」がまあそれに近いところで、こちらは隕石ではなく富士山の形に似た巨石。その他にもまだあったような気がするけど……年のせいか思い出せないなあ。
しかし派手な事件のわりには話の展開はのんびりというか諧謔的で、サスペンス風味はまったくありません。ある意味、事件と展開の間に凄いギャップがありすぎではありますが、読んでいるうちにそんな雰囲気にすっかり飲み込まれてしまうのもまた事実。
とはいえ終盤の多重解釈はなかなか凄まじいものがあって謎解きとしても満足できる結末なんだけれども、今の時代にはちょっと受けない話かもしれないなあ。
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