柳 広司著
「贋作『坊っちゃん』殺人事件」の時は、その贋作っぷりに感心しながらも「坊っちゃん」の世界に殺人事件を持ち込んだことに対する違和感をぬぐい去ることができなくて読み終えてもなんだかすっきりしない物があって、柳広司の作品は肌に合わないんじゃないだろうかなどと思っていたのですが、この作品に限っては杞憂というものでした。
実在の人物を探偵役にしたいわゆる歴史ミステリを書く作家は沢山いるのですが、この人ほどよく書く人も少ないことでしょう。同じ人物でシリーズ化しているのならともかく毎回違う人物でそれを行っているのですからなおさらというものです。
今回はチャールズ・ダーウィンが探偵役。実物がどうだったのかはともかく、探偵役を担ってもおかしくない言動や行動をさせているので別段不自然ではありません。早い段階で事件が起こり、矢継ぎ早に次の事件も……。結構テンポよく物語が展開していくのもうれしいところです。なおかつ事件は不可能犯罪ですから文句のいいようもありません。
もっとも、トリックに関してはそれほど独創性があるわけでもなく、そちらの方を期待するとちょっと期待はずれ。しかしそんな物を吹き飛ばすような犯行動機の衝撃性。登場人物の人間関係から舞台となるガラパゴス諸島、あらゆる設定が事件に密接に関係していて無駄がなく、読み終えてその精巧さにあらためて驚かされます。
実在の人物を探偵役にしたいわゆる歴史ミステリを書く作家は沢山いるのですが、この人ほどよく書く人も少ないことでしょう。同じ人物でシリーズ化しているのならともかく毎回違う人物でそれを行っているのですからなおさらというものです。
今回はチャールズ・ダーウィンが探偵役。実物がどうだったのかはともかく、探偵役を担ってもおかしくない言動や行動をさせているので別段不自然ではありません。早い段階で事件が起こり、矢継ぎ早に次の事件も……。結構テンポよく物語が展開していくのもうれしいところです。なおかつ事件は不可能犯罪ですから文句のいいようもありません。
もっとも、トリックに関してはそれほど独創性があるわけでもなく、そちらの方を期待するとちょっと期待はずれ。しかしそんな物を吹き飛ばすような犯行動機の衝撃性。登場人物の人間関係から舞台となるガラパゴス諸島、あらゆる設定が事件に密接に関係していて無駄がなく、読み終えてその精巧さにあらためて驚かされます。
コメント
こんにちは。はじめまして。
柳広司さんの歴史ミステリには私も注目しているのですが、
いまのところこの「はじまりの島」がベストかな、と思います。
「饗宴 ソクラテス最後の事件」「聖フランシスコ・ザビエルの首」なども
なかなか面白かったです。
「新世界」は未読ですが・・・。
しかしこの人、すごいアイデアと博識の持ち主ですね。
木曽さん、はじめまして。
たしかにこの人の博識ぶりというか歴史の間の虚構の作り方には驚かされますね。シリーズ化せずに毎回手を変え品を変えているところがまた凄いです。
今月は「饗宴 ソクラテス最後の事件」が文庫化されるので楽しみにしています。