「ガタカ」を観ました。
とりあえずSFサスペンスという程度しか知らず、変なタイトルだなあと思っていたんですが、GATTACAとタイトル表示された時点で、ああ、これって塩基配列だったんだと気づいた瞬間、無条件に急上昇する期待感というものですよ。
子供たちは生まれる前の段階で遺伝子分析によるデザインがされ、最良の組み合わせで生まれるようになった近未来の話。主人公はそういったことを嫌った両親によって自然な形で受精し生まれた男だったのだが、誕生直後の遺伝子分析によって不運なことに99%の確率で30歳までに心臓疾患で死亡する事が判明。そしてその瞬間から主人公は「不適正者」として登録されることとなる。
主人公はやがて宇宙飛行士になることを夢見るのだが、どんなにがんばろうともその道のりは閉ざされたままである。そこで主人公は裏ルートを通じ、優秀な遺伝子を持ちながらも事故で下半身不随となってしまった男の遺伝子情報を買うことにする。つまり別人になりすますのだ。
個人認証が全て遺伝子情報によってなされる世界、主人公は別人になりすますために涙ぐましいまでの努力をし、宇宙飛行士を目指す。
なんだ、これは。これで最後に主人公が宇宙飛行士になれたんだったらサスペンスでもなんでもなく、単なるいい話で終わってしまうんじゃないかって思ったんですが……そのとおり、いい話でした。
もちろん途中からサスペンス要素が発生し、こんなにがんばった主人公にさらなる追い打ちかけるのかよ、と思ってしまう展開になるし、しかも、細かい部分を見ていくと設定の部分でだいぶつっこみを入れたくもなってくるんですが、まあ設定はあくまで設定で、そういうもんだと思えばかろうじて我慢できるし、何よりも泣ける。そう、泣けるほどいい話なのですよ。主人公は別に悪いことをしているわけでもなく、ただ単純にここではないどこかへと行くために宇宙飛行士を目指す、この世界が嫌いだから。
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