『囲碁小町 嫁入り七番勝負』犬飼六岐

  • 囲碁小町 嫁入り七番勝負
  • 著: 犬飼 六岐
  • 販売元/出版社: 講談社
  • 発売日: 2013/8/9

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将棋はルールを知っているし、ヘボ将棋だけれども指したことはある。が、囲碁はルールもよく知らないし、もちろんやったこともない。
そんなわけで、将棋を題材とした物語には興味を持つけれども囲碁を題材とした物語にはあまり食指が動かないのだが、作者が犬飼六岐となると作者買いという面もあって読んでみることにした。
タイトルにあるとおり、囲碁の七番勝負を題材にした物語だ。
僕はひねくれた見方をしてしまう面もあるので、七回の勝負の主人公の勝ち方をどのような順番にするのだろうかということを考えてしまう。最後の勝負に挑むにあたってそれまでに勝敗が決定してしまうとつまらないので最後は三勝三敗であったほうが盛り上がる。というかそうでなければ物語は終わってしまう。さらにいえば、そこに至るまでのの勝敗もどういうふうにするかというところも見せ所だろうけれども、じゃあ実際にはどうなっているのかというと、割合とひねってある。しかし、この本の面白さはそんな表層的な部分ではなく、それぞれの勝負においての主人公の葛藤や悩み、そして成長の部分であって、それだけに終盤の展開があっけないところが少し物足りない。
エンターテインメントとしての物語である以上、囲碁のルールを知らなくってもある程度は理解できるように書かれているのは当然のことだけれども、読み終えて囲碁のルールを覚えてみたいなという気持ちにさせられる物語というのはなかなか少ない気もする。もちろんそれは僕が将棋の世界を知っているからこそ、じゃあ囲碁の世界にも触れてみようという気持ちにさせられたというせいも多分にあるだろうけれども、物語の中で主人公たちが見せる囲碁の世界に魅了されたせいでもあるだろう。

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