マイケル・ムアコック著 / 中村 融訳
初期の作品らしかったので、勧善懲悪的、単純明快な冒険小説かと思って読んだらやはりムアコック、大違いの内容でした。
温暖化ならぬ寒冷化を迎え氷河期時代に突入した未来の地球。文明は衰退し人々は橇と化した帆船に乗り、陸を這う鯨を捕って生活をしている。<八都市>とよばれる八つの都市はあるものの、船を作る技術は既に失われていて、乗船可能な船は年々減りつつある。
人々は<氷の母>という教義を信じており、寒冷化こそ救済であることを信じて疑わない。
そこで主人公の登場であるけれど、主人公も「寒冷化こそ救済」を信じている。さすがムアコックと言いたくもなる。しかも<氷の母>がいると思われているニューヨークへの冒険に船長として成り行き上、関わることになるのだが、主人公の思惑は<氷の母>になどには無く、一目惚れしてしまった人妻のほうなのである。さすがムアコックだ。ま、目的はどうであれ主人公はニューヨークを目指し、その冒険の過程で我らが主人公は、悩んだり、当たり散らしたり、引きこもったりするのだ。そして我らが主人公が、悩んだり、当たり散らしたり、引きこもったりしているうちに、どんどんと船員達が死んでいき、気が付けば船も壊れて失ってしまう。しかし異常な幸運に恵まれた主人公のおかげでニューヨークまでなんとか歩いていけそうなところまでは到着する。
で、残り数十頁ほどのところでニューヨークに到着するのだが、そこで驚くことに、悩んだり、当たり散らしたり、引きこもったりしながら冒険するファンタジー小説がいきなりSF小説に転換してしまうのだ。
多少変わった味はするけどうまいプリンだなと思っていたら、いきなりそれは卵豆腐だと言われたような気分である。
大きなお世話だと言いたくもなるし、知りたくもなかったよと思いたくもなる。
もちろん我らが主人公はそんな真実を受け入れるだけの器量があるわけでもなく、<氷の母>を求めてさらに北へと向かい、この物語は幕を閉じる。
最後の最後で突然SFに転換してしまうこの話を読んで、そんな主人公の気持ちが少しはわかった気がする。
温暖化ならぬ寒冷化を迎え氷河期時代に突入した未来の地球。文明は衰退し人々は橇と化した帆船に乗り、陸を這う鯨を捕って生活をしている。<八都市>とよばれる八つの都市はあるものの、船を作る技術は既に失われていて、乗船可能な船は年々減りつつある。
人々は<氷の母>という教義を信じており、寒冷化こそ救済であることを信じて疑わない。
そこで主人公の登場であるけれど、主人公も「寒冷化こそ救済」を信じている。さすがムアコックと言いたくもなる。しかも<氷の母>がいると思われているニューヨークへの冒険に船長として成り行き上、関わることになるのだが、主人公の思惑は<氷の母>になどには無く、一目惚れしてしまった人妻のほうなのである。さすがムアコックだ。ま、目的はどうであれ主人公はニューヨークを目指し、その冒険の過程で我らが主人公は、悩んだり、当たり散らしたり、引きこもったりするのだ。そして我らが主人公が、悩んだり、当たり散らしたり、引きこもったりしているうちに、どんどんと船員達が死んでいき、気が付けば船も壊れて失ってしまう。しかし異常な幸運に恵まれた主人公のおかげでニューヨークまでなんとか歩いていけそうなところまでは到着する。
で、残り数十頁ほどのところでニューヨークに到着するのだが、そこで驚くことに、悩んだり、当たり散らしたり、引きこもったりしながら冒険するファンタジー小説がいきなりSF小説に転換してしまうのだ。
多少変わった味はするけどうまいプリンだなと思っていたら、いきなりそれは卵豆腐だと言われたような気分である。
大きなお世話だと言いたくもなるし、知りたくもなかったよと思いたくもなる。
もちろん我らが主人公はそんな真実を受け入れるだけの器量があるわけでもなく、<氷の母>を求めてさらに北へと向かい、この物語は幕を閉じる。
最後の最後で突然SFに転換してしまうこの話を読んで、そんな主人公の気持ちが少しはわかった気がする。
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