オールド・ディック

「オールド・ディック」
L・A・モース著
本棚の奥に眠っていたので取り出してパラパラと読み出したところ、どんな内容だったのかすっかり忘れていることに唖然とするも、いや、これが読み始めたら面白くってどうにも途中で止めることが出来なくなってしまい、一気に読み終えてしまいました。
こんなに面白い本が絶版というのも罪だよなあと思っていたらビーケーワンでは注文ができるではありませんか。うーん多分取り寄せで在庫無しとなるんだろうけど。
ちょっと走れば息も絶え絶え、死神が見えそうになる78歳の元探偵が主人公。三十年以上前に自分が刑務所にぶち込んだ元ギャングが現れて、孫が誘拐されたから身代金の受け渡しに付き添ってくれと依頼される。元ギャングも年寄りだし、その他、元警官、元映画女優と「元」がつく人物のオンパレード。
それでもこの主人公、口先だけはタフガイぶりが健在で、そのためにいろいろとやっかいな目にあうのだが……。
しかし痛めつけられても最後まで自分の事件をやり遂げてしまうところが素晴らしい。歳をとったら私もこんな爺ぃになりたいものです。
老人が主人公というとその他に、エド・ゴーマンの「夜がまた来る」があるけど、こちらは64歳とだいぶ若い。題名から想像できるように、ちょっとシリアスな話。
ロバート・L・フィッシュの「殺人同盟」シリーズは、過去の輝かしい栄光から置き去りにされ、経済的にも窮地に立たされた三人の老ミステリ作家が自分たちの小説の中で使った殺人方法を利用して、報酬と引き替えに殺人を引き受ける「殺人同盟」を立ち上げるというユーモアミステリ。「懐かしい殺人」「お熱い殺人」「友情ある殺人」の三作があるけど、これも絶版。
ダン・シモンズの「殺戮のチェスゲーム」では、ユダヤ人強制収容所の生き残りでもある精神科医のソール ・ラスキがマインド・バンパイアと戦うお話。敵のマインドコントロールに対してソール ・ラスキが用いた対抗策が実に感動的かつ素晴らしい。
短編になると沢山ありそうなんだけど、すぐに思い出せるのが、筒井康隆の「わが良き狼」。そういえば、筒井康隆は結構老人が主人公の小説を書いているんだよねえ。

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