『SFが読みたい! 2014年版』SFマガジン編集部

  • SFが読みたい! 2014年版
  • 著: SFマガジン編集部
  • 販売元/出版社: 早川書房
  • 発売日: 2014/2/7

Amazon


そろそろ惰性で読んでいる気がしはじめたのだが、それというのもランキングにあまり興味がなくなってきたせいもある。
というよりもランキングに入っている本の大半が読めていないというのが一番の理由だろう。もちろん読みたくないというわけではなく、読み切れていないというせいで、国内部門はもともとそれほど読めていなかったけれども海外部門はベスト10のうち半分も読めていない。
まあランキング結果なんてのは集計値にすぎないので、本来の面白さは、個々の人たちがどんな本を挙げているのかと言う部分。
で驚いたのは朝松健と二階堂黎人の投票結果で、朝松健は驚いたことに自作を入れていない。記憶にある限りでは毎年、自作を一作は挙げていたはずなのに、いったいどうしたんだろうかと心配になってしまう。いっぽう、二階堂黎人の方は、相変わらず一位にペリー・ローダン・シリーズを挙げているけれどもそれ以下には誰が見ても一応は納得できそうな作品を入れている。
各社の今年の予定のほうはというと扶桑社が無くなってしまったのが気になるというか残念なんだけれども、早川書房は例年通り期待できるラインナップなのはもちろんとして、東京創元社が新たな業書を立ち上げたお陰で、早川書房、東京創元社に二本柱がやけに強力な布陣になっている。国書刊行会は相変わらずなんだけれど、はたしてジーン・ウルフ祭りは本当に今年行われるのだろうか。出版芸術社は眉村卓、皆川博子ときて今度は筒井康隆。どんな収録になるのか楽しみだね。
しかし一番の問題は今回の特集で、あまちゃんとか半沢直樹とか2013年に話題になったものに関連するテーマに沿ってSF小説をピックアップして紹介するというものなんだけれども、アプローチとしては面白いけれども、どのターゲットに対して行っているのかを考えると少しピントがずれているような気もする。なんて思ってしまうのはここで紹介されている作品の大半は既読だからというせいもあるかもしれないけれど、iphoneをテーマにグレッグ・イーガンの『しあわせの理由』をおすすめされても、あえて読む人がいるのだろうかとも思う。どうせならば紹介する作品は2013年に出版された作品だけに絞ってあればまだしもよかったと思うのだが、もっともそんな縛りを入れると紹介できる作品がなくなってしまう可能性の方が高いけれども、こういう特集をするくらいならば、去年亡くなったフレデリック・ポールやコリン・ウィルソンの追悼特集とか、一年を振り返った座談会とかの方が読みたいと思うのだ。欲を言えば『このミステリーがすごい!』が、かつて行っていた匿名座談会のようなものが読みたいのだけれども、さすがに早川書房が出す本の中で匿名座談会は無理か。

コメント

タイトルとURLをコピーしました