飛 浩隆著
「グラン・ヴァカンス」の世界にこれだけのSF設定が隠されていたということにまず驚いた。しかも、あとがきによれば、これでもまだ三分の一しか出していないという。前作を読んだときには、仮想空間の話をSF設定の部分を語らずにうまく物語ったものだと思っていたけれど、それはつまるところ、語ってしまうことによって陳腐なものになってしまうことを避けたためだと思っていた。いやしかし実際はそうではなく、しかも今度はそこのところを逃げずに突き進んで来るとは……、もう脱帽。
雑誌掲載時、我慢して読まなかっただけの価値があったわけで、これだけの話を一気に読み終えた快感というのは何物にも変えがたいものがある。
これはもう、短編集という形式だからこその強みだろうか、バラエティ豊かな登場人物と物語。前作が持っていた美しさと官能的な倒錯感はもちろんのこと、それにあわせてハードSFとしてのすばらしさ。読み終えた後に振り返って、細部を調べなおしてみると、いろいろと設定上の疑問点は出てくるものの、読んでいる最中はきれいに騙さる。ハードSFとしてみると無理がありすぎる気がするけど、これはやはりハードSFのように見せかけているに過ぎなく、根本的にはハードSFではないし、そのつもりで書いてもいないだろうなあ、多分。
もちろんそれが悪いわけでも欠点でもなく、むしろハードSFのふりをしてイーガンに充分対抗できてしまうものに仕上げてしまったことが凄いわけだ。
雑誌掲載時、我慢して読まなかっただけの価値があったわけで、これだけの話を一気に読み終えた快感というのは何物にも変えがたいものがある。
これはもう、短編集という形式だからこその強みだろうか、バラエティ豊かな登場人物と物語。前作が持っていた美しさと官能的な倒錯感はもちろんのこと、それにあわせてハードSFとしてのすばらしさ。読み終えた後に振り返って、細部を調べなおしてみると、いろいろと設定上の疑問点は出てくるものの、読んでいる最中はきれいに騙さる。ハードSFとしてみると無理がありすぎる気がするけど、これはやはりハードSFのように見せかけているに過ぎなく、根本的にはハードSFではないし、そのつもりで書いてもいないだろうなあ、多分。
もちろんそれが悪いわけでも欠点でもなく、むしろハードSFのふりをしてイーガンに充分対抗できてしまうものに仕上げてしまったことが凄いわけだ。
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