ジョン・C.ライト著 / 日暮 雅通訳
三部作……というよりも長すぎるので三冊に分けたというのが実情らしいのだが、ようするに全体の三分の一しか読んでいないのだからこの時点で面白い話だったのかどうかは断定できないけれども、危惧していたよりは面白い。
三分の一の時点でこれだけ面白ければひとまずはこの続きも安心できるんじゃないかな。
もっとも、最初の百五十ページぐらいまでは読むのがきつかった。なんの説明もなしに使われる専門用語のオンパレード。年をとって順応性が落ち、SF力が衰えてきたかなと思い始めている身には辛いものがありましたよ。もう、気合いを入れて読まないと何が書いてあるのかさっぱり判りません。しかし、若いころならこのくらいは平気だったのになあと思いなが読み進めていくと、だんだんと面白く楽しくなるわけですよ、これが。
読者は予備知識無しで物語の世界に放り込まされるわけですが、主人公も似たようなもの。三千年近く生きてきて、二百五十年分の記憶が無いことに突然気付かされてしまう。おまけに今朝話をしたばかりの父親が死んだことになったらしく遺産問題も勃発。というか金持ちだと思っていたら実は無一文だったことも判明。法廷に呼び出されたかと思ったら身に覚えのないことで無理難題をふっかけられ、解決できなければさらにやっかいな窮地に落ちやられてしまうことに。何が何だかさっぱり判らない主人公なんだけども誰も詳しい説明をしてくれない。しかし弁護士が突然やって来てたった四十五秒で解決してしまう。でも主人公はなにがどう解決したのかさっぱり判らない。もちろん読者も。
いや実に素晴らしい展開で、ヴァン・ヴォクトの「非Aの世界」を彷彿させます。惜しむらくは主人公が超人ではないこと。そりゃ、こんな話書くんじゃ「非A」シリーズの続編を書きたくなるよなあ。
クライマックスが法廷シーンというものなかなかにやりとさせるところで、自分の記憶を公開して調べさせたところで出てくるとんでもない事態なんかは、押さえの効かなくなったジェフリー・ディーヴァー並みのどんでん返しで、成功しているかどうかはともかく、というか完全にはずしているけど、あんた狂ってるよ、最高だよと作者を絶賛したくもなった。さらには原子番号が九百番台の物質とか、地球を小惑星にしてしまうほどのエネルギーをぶつけても平気な防護服といった狂ったガジェットが登場するのもうれしいところ。ああ、やはりこれで主人公がIQ800ぐらいの超人だったら、なおよかったなあと思ってしまう。
個人的にはもの凄く楽しんだんだけど、全体の三分の一で六百ページってのはちょっと長すぎる気もしないでもなく、売れ行きが心配なんだけど、とりあえず残りの二作も翻訳予定には入っているようなので、まあいいか。
三分の一の時点でこれだけ面白ければひとまずはこの続きも安心できるんじゃないかな。
もっとも、最初の百五十ページぐらいまでは読むのがきつかった。なんの説明もなしに使われる専門用語のオンパレード。年をとって順応性が落ち、SF力が衰えてきたかなと思い始めている身には辛いものがありましたよ。もう、気合いを入れて読まないと何が書いてあるのかさっぱり判りません。しかし、若いころならこのくらいは平気だったのになあと思いなが読み進めていくと、だんだんと面白く楽しくなるわけですよ、これが。
読者は予備知識無しで物語の世界に放り込まされるわけですが、主人公も似たようなもの。三千年近く生きてきて、二百五十年分の記憶が無いことに突然気付かされてしまう。おまけに今朝話をしたばかりの父親が死んだことになったらしく遺産問題も勃発。というか金持ちだと思っていたら実は無一文だったことも判明。法廷に呼び出されたかと思ったら身に覚えのないことで無理難題をふっかけられ、解決できなければさらにやっかいな窮地に落ちやられてしまうことに。何が何だかさっぱり判らない主人公なんだけども誰も詳しい説明をしてくれない。しかし弁護士が突然やって来てたった四十五秒で解決してしまう。でも主人公はなにがどう解決したのかさっぱり判らない。もちろん読者も。
いや実に素晴らしい展開で、ヴァン・ヴォクトの「非Aの世界」を彷彿させます。惜しむらくは主人公が超人ではないこと。そりゃ、こんな話書くんじゃ「非A」シリーズの続編を書きたくなるよなあ。
クライマックスが法廷シーンというものなかなかにやりとさせるところで、自分の記憶を公開して調べさせたところで出てくるとんでもない事態なんかは、押さえの効かなくなったジェフリー・ディーヴァー並みのどんでん返しで、成功しているかどうかはともかく、というか完全にはずしているけど、あんた狂ってるよ、最高だよと作者を絶賛したくもなった。さらには原子番号が九百番台の物質とか、地球を小惑星にしてしまうほどのエネルギーをぶつけても平気な防護服といった狂ったガジェットが登場するのもうれしいところ。ああ、やはりこれで主人公がIQ800ぐらいの超人だったら、なおよかったなあと思ってしまう。
個人的にはもの凄く楽しんだんだけど、全体の三分の一で六百ページってのはちょっと長すぎる気もしないでもなく、売れ行きが心配なんだけど、とりあえず残りの二作も翻訳予定には入っているようなので、まあいいか。
コメント
「業務日誌」さんのアンテナをうろついてたら、こちらにたどり着きました。
そうですか!150ページあたりから面白くなるのですか!
ワタクシ、こらえ性が無く、120ページあたりで放り投げてしまいました。
もう一度探してみます。
>そうですか!150ページあたりから面白くなるのですか!
私の場合は、そのあたりでようやく輪郭が見え始めて話を楽しむことができたということなので、物語が進展して面白くなるのは三分の二を過ぎてからかと……。
終盤は確かに話が進みます。もっともそれでも「起承転結」の「起」で終わってしまうのですが。
私はヴァン・ヴォクトが好きなので楽しんだのですが、そうでないと辛いものがあるかと思います。
ジョン・C・ライト『ゴールデン・エイジ 1 幻覚のラビリンス』
ゴールデン・エイジ 1posted with 簡単リンクくん at 2006.11. 6ジョン・C.ライト著 / 日暮 雅通訳早川書房 (2006.10)ISBN : 4150115850価格 : \1,050通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見るAmazon
■感想
この作品、おもしろくて楽しめたんだけど、ややこしい話なんで何をどう書くか……と悩んでいたら、“アルファ・ラルファ大通りの脇道”のTakeman氏がスッキリ見事なインプレッション記事を書かれておりました。
– アルファ・ラルファ大通りの脇道:ゴールデン・エイジ 1 幻覚のラビリンス
物語については、こちらの記事を読んでいただくとして、私は登場するガジェット面についてなぞ。