福島 正実編 / 寺沢 昭絵
おお、これは昔懐かしいSF。
子供の頃読んだSFの薫り漂う短編集ですよ。
こうして読み終えてみると、福島正実の作品はほとんど読んでこなかったにもかかわらず、福島正実が関わったSFは読み続けてきたわけで、福島正実の影響というものを間接的ながらも受け続けてきたんだなあと実感いたしました。
この本も福島正実の八面六臂の活躍で、編者としてだけでなく作者として三編も書いております。
もう一つの世界と繋がった電話の話「遠くはるかに」は、向こう側の世界が内乱状態の日本で、主人公は基本的に為すすべのない状態。電話の向こうの少女に危機が迫っているのだが励ますことしかできない。そして混線状態だった電話が復旧し繋がりは途絶えてしまうという後味の悪い話。
「色をなくした町」は環境破壊が進んで人々が色盲になってしまう話なんだけど、最初は赤緑色盲から始まり、最後は完全な色盲となり白黒の世界となってしまう。ラストの一行がたまらなく嫌な気分にさせてくれるお話。
矢野徹の「サイボーグ」はサイボーグとなった人々が生身の人間を襲い、人体のパーツを奪って生身の体を取り戻そうとする話。語り手のおじいさんはサイボーグ達に襲われて体を奪われそうになるところをかろうじて生き延びるのだが……、これまた最後の一行がなんとも嫌な気分にさせられるお話。
と、嫌な話ばかりかと思えばそうでもなく、石原藤夫の「無抵抗人間」はフレドリック・ブラウンが書いてもおかしくないようなアイデアストーリィ。先の展開がわかってしまっても笑えます。
「色をなくした町」と「サイボーグ」が一番の目当てだったんですが、思わぬ伏兵がいました。光瀬龍です。
光瀬龍の「あばよ!明日の由紀」は一番長い話だけれども、少年と少女の体が入れ替わるという良くある話でありながら、何故そうなったのかという部分がとってもおざなり。適当なところでお茶を濁しています。しかし途中の展開は多感な少年の心をグッとつかむような素敵なお話。もちろん大人が読んでも全然面白くも何ともありません。そういう意味ではものすごくあざとすぎます。やるなあ光瀬龍。
子供の頃読んだSFの薫り漂う短編集ですよ。
こうして読み終えてみると、福島正実の作品はほとんど読んでこなかったにもかかわらず、福島正実が関わったSFは読み続けてきたわけで、福島正実の影響というものを間接的ながらも受け続けてきたんだなあと実感いたしました。
この本も福島正実の八面六臂の活躍で、編者としてだけでなく作者として三編も書いております。
もう一つの世界と繋がった電話の話「遠くはるかに」は、向こう側の世界が内乱状態の日本で、主人公は基本的に為すすべのない状態。電話の向こうの少女に危機が迫っているのだが励ますことしかできない。そして混線状態だった電話が復旧し繋がりは途絶えてしまうという後味の悪い話。
「色をなくした町」は環境破壊が進んで人々が色盲になってしまう話なんだけど、最初は赤緑色盲から始まり、最後は完全な色盲となり白黒の世界となってしまう。ラストの一行がたまらなく嫌な気分にさせてくれるお話。
矢野徹の「サイボーグ」はサイボーグとなった人々が生身の人間を襲い、人体のパーツを奪って生身の体を取り戻そうとする話。語り手のおじいさんはサイボーグ達に襲われて体を奪われそうになるところをかろうじて生き延びるのだが……、これまた最後の一行がなんとも嫌な気分にさせられるお話。
と、嫌な話ばかりかと思えばそうでもなく、石原藤夫の「無抵抗人間」はフレドリック・ブラウンが書いてもおかしくないようなアイデアストーリィ。先の展開がわかってしまっても笑えます。
「色をなくした町」と「サイボーグ」が一番の目当てだったんですが、思わぬ伏兵がいました。光瀬龍です。
光瀬龍の「あばよ!明日の由紀」は一番長い話だけれども、少年と少女の体が入れ替わるという良くある話でありながら、何故そうなったのかという部分がとってもおざなり。適当なところでお茶を濁しています。しかし途中の展開は多感な少年の心をグッとつかむような素敵なお話。もちろん大人が読んでも全然面白くも何ともありません。そういう意味ではものすごくあざとすぎます。やるなあ光瀬龍。
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