ル=グウィン〔著〕 / 清水 真砂子訳
「影との戦い」の興奮覚めやらぬうちに次巻の「こわれた腕環」へ。
しかし、「山尾悠子作品集成」を読みふけっている身の箸休めとして読んだのが失敗か、「影との戦い」程はのめり込めませんでした。山尾悠子の文章の後では何を読んでも文章に物足りなさが感じられてしまうのはやむを得ません。
もっとも、一番の原因はゲドの物語を読みたかったのにこの話は巫女であるテナーの物語だったことでしょう。中盤になってようやくゲドが登場するのだけれども、視点はあくまでテナーのままです。前巻が男の子の成長ものがたりだとすれば、今回は女の子の成長物語であり、舞台が一つの島に限定されているあたりや、こわれて二つになってしまった腕環が最後に一つになる部分など、前作と照らし合わせてみると完璧に近い構成でただひたすら感心するばかりなんですが、真面目に物語の意味を読みとろうとすると、この話が女の子の物語であるため、男が読んだ場合おもしろさが減少してしまうんじゃないかと思います。論理的に理解はできるけど感覚的には理解出来ないとでもいいましょうか。
一度はゲドを信じたテナーが、再度不安に陥りゲドを殺そうとする場面など、終わりまで残り数ページというところで起こる展開です。ドキドキの展開というよりも、そこまでやるかル=グウィンと言いたくもなります。背後に隠れている作者の計算という物が見えてくるだけに一歩読み違えると、読書をしているというよりも作者のねらいを探し出すテストを受けているような気もしてきます。
さて、次は「さいはての島へ」です。
しかし、「山尾悠子作品集成」を読みふけっている身の箸休めとして読んだのが失敗か、「影との戦い」程はのめり込めませんでした。山尾悠子の文章の後では何を読んでも文章に物足りなさが感じられてしまうのはやむを得ません。
もっとも、一番の原因はゲドの物語を読みたかったのにこの話は巫女であるテナーの物語だったことでしょう。中盤になってようやくゲドが登場するのだけれども、視点はあくまでテナーのままです。前巻が男の子の成長ものがたりだとすれば、今回は女の子の成長物語であり、舞台が一つの島に限定されているあたりや、こわれて二つになってしまった腕環が最後に一つになる部分など、前作と照らし合わせてみると完璧に近い構成でただひたすら感心するばかりなんですが、真面目に物語の意味を読みとろうとすると、この話が女の子の物語であるため、男が読んだ場合おもしろさが減少してしまうんじゃないかと思います。論理的に理解はできるけど感覚的には理解出来ないとでもいいましょうか。
一度はゲドを信じたテナーが、再度不安に陥りゲドを殺そうとする場面など、終わりまで残り数ページというところで起こる展開です。ドキドキの展開というよりも、そこまでやるかル=グウィンと言いたくもなります。背後に隠れている作者の計算という物が見えてくるだけに一歩読み違えると、読書をしているというよりも作者のねらいを探し出すテストを受けているような気もしてきます。
さて、次は「さいはての島へ」です。
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