こうの 史代著
主人公の名前は奥田参平。亡くなった奥さんは彼のことを「参さん」と呼んでいた。だからこの本の題名は「さんさん録」。妻を亡くした彼が息子夫婦と一緒に暮らしはじめるところから物語が始まる。
しかし相変わらずうまいなあ。ここぞという所で使ってくる大ゴマも見事なんだけれども、それ以上に何気ない日常の切り取り方が素晴らしい。妻の残した「奥田家の記録」という生活レシピをたよりに慣れない主婦業に乗り出す主人公の姿が愉快であり且つ頼もしくもある。やもめになってしまうのは嫌だが、こういう日常生活を送ってみたいものです。
息子夫婦と生活を共にし、「お父さん」とか「じいさん」などと呼ばれるようになり、「これで参平さんと呼んでくれる人はいなくなってしまったか」とつぶやくシーンがあるんだけれども、目から鱗が落ちる思いでした。今はまだ自分のことを名前で呼んでくれる人がいるのだけれども、いつの日か自分のことを名前で呼んでくれる人がいなくなってしまうかも知れない。そんな日が来たとき自分だったらどう感じるのだろうか……。
今回の表紙はものすごく地味なんだけれども、手触りのいい紙を使った装丁がなんともいえず心地いい。二巻が早くも楽しみな一冊です。
しかし相変わらずうまいなあ。ここぞという所で使ってくる大ゴマも見事なんだけれども、それ以上に何気ない日常の切り取り方が素晴らしい。妻の残した「奥田家の記録」という生活レシピをたよりに慣れない主婦業に乗り出す主人公の姿が愉快であり且つ頼もしくもある。やもめになってしまうのは嫌だが、こういう日常生活を送ってみたいものです。
息子夫婦と生活を共にし、「お父さん」とか「じいさん」などと呼ばれるようになり、「これで参平さんと呼んでくれる人はいなくなってしまったか」とつぶやくシーンがあるんだけれども、目から鱗が落ちる思いでした。今はまだ自分のことを名前で呼んでくれる人がいるのだけれども、いつの日か自分のことを名前で呼んでくれる人がいなくなってしまうかも知れない。そんな日が来たとき自分だったらどう感じるのだろうか……。
今回の表紙はものすごく地味なんだけれども、手触りのいい紙を使った装丁がなんともいえず心地いい。二巻が早くも楽しみな一冊です。
コメント