「ロシア・ファンタスチカ〈SF〉の旅」を読んだ後、SFが好きと公言している以上ストルガツキー兄弟の本の一冊や二冊は読んでおかなければまずいんじゃないかという気持ちになり、読んでみることにしました。
話は三話に分かれていて、第一話は主人公が魔法妖術科学研究所で働きはじめるまでの話。主人公はプログラマーなんだけれども、新しい仕事場に向かう最中に魔法妖術科学研究所の面々と関わり合いをもってしまい、こっちの方が面白そうだからという理由で魔法妖術科学研究所で働くことにしてしまいます。
喋る猫がいて、博覧強記の知識の持ち主なんだけれども健忘症なのでどれも中途半端にしか思い出せない。
野良ニャー…野良じゃ、鋤がひとりで畑を耕している…ニャーオ…
だんニャがあとからついていく…まてよ、ここは、ニャそ、ニャそつい
ていく、だったかニャ?……
翻訳者の努力の賜かも知れないけれども、ロシアSFを見くびっていたよ私は。
そのほかにも、助けてくれたら何でも願いをかなえてあげるけど電化製品を出すのだけはごめんだと言うカワカマスが登場したり、ああ確かに魔法妖術科学研究所の方で働く方が面白そうだもんなあ。
続いて第二話は大晦日の夜のてんやわんやの騒動の話。主人公は当直を命じられて勤務時間終了後に研究員の追い出しにとりかかるんだけれども、なんだかんだ言ってみんな研究所に戻ってきて研究を始めてしまいます。まさにタイトルどおり科学者は「月月火水木金金」休み無し。
第三話はタイムマシンが登場するんだけれども、このタイムマシン未来へ行くときには空想の未来へしか行けない。そんなの意味ないんじゃないかと思うんだけども、主人公がそれを使って行く未来の世界で人類は、ロボットの奴隷となっていたり、宇宙人の奴隷となっていたりと、どこにいっても何者かの奴隷となっている。馬鹿馬鹿しくってサイコーですよ、このタイムマシン。
しかし馬鹿馬鹿しいばかりではなく、要所要所では深遠だったりするので、こんな面白い話だったのならもっと早くから読んでおけば良かったよ。
コメント
とうとう、ストルガツキイをお読みになったのですね!
私の通いつめる図書館では、ストルガツキイが少なく、読もうと思ったら自分で集めるしかないんですが、ストルガツキイの本はどれもこれもお高め。
ビンボー人で熱意の足りない私には、少々無理がある。
でも、手に入るなら、どんな本でも読んでみたいと思わせる作家ではあります。
しゃべる猫、しかも健忘症。
可愛いなぁ。
ミハイル・ブルガーコフを読まなければいけないのですが、その前に浮気して読んでしまいました。といっても難解そうでないユーモアSF系の話を選んでしまったところに私の軟弱さが現れていますが。
近々公開される「ナイトウォッチ」がヒットして日本でもロシアSFブームが起こればいいなあと思っています。