連城 三紀彦著
「人間動物園」の時には、連城三紀彦の小説は今ひとつ肌に合わないなんて書いたんですが、これは違いました。ミステリ好きでこれをまだ読んでいない人がいたら、連城三紀彦が嫌いだろうとなんだろうと読めるうちに読んでおけと声を大にして言いたい。
こんなことならハルキ文庫版の「戻り川心中」が入手可能なうちに読んでおけばよかったよと後悔しております。ハルキ文庫版は花葬シリーズ全八話が収録された完全版。今回私が読んだのは講談社文庫版と同じなので五話だけです。
冒頭の「藤の香」は内容的にもそれほど衝撃的ではなく物語としては美しくてもミステリとしては今ひとつピンと来なかった話だったので、読む順番を変え「戻り川心中」を読んで呆然。これは確かに傑作と言われるだけのことはあると感心しながら、残りの三作を読んで打ちのめされました。
振り返ってみれば、どれも異様な犯行動機の謎物語です。アヴラム・デイヴィッドスンの「すべての根っこに宿る力」を思い出しました。アヴラム・デイヴィッドスンも凄かったけれども、こんなうつくしい物語に仕立て上げてしまう連城三紀彦はさらに凄いというか、卑怯者と言いたくもなります。
個人的に気に入ったのは「桔梗の宿」。とある作品の前例はこの話だったのかと思ったのですが、この話がそうだとしたら前例があると文句を言われても仕方ないでしょう。しかし、だからといって駄目というわけではなく、前例があったのはちょっと残念だった、という程度でしょう。
八百屋お七の話がこんな風に繋がるとは思いませんでしたよ。
こんなことならハルキ文庫版の「戻り川心中」が入手可能なうちに読んでおけばよかったよと後悔しております。ハルキ文庫版は花葬シリーズ全八話が収録された完全版。今回私が読んだのは講談社文庫版と同じなので五話だけです。
冒頭の「藤の香」は内容的にもそれほど衝撃的ではなく物語としては美しくてもミステリとしては今ひとつピンと来なかった話だったので、読む順番を変え「戻り川心中」を読んで呆然。これは確かに傑作と言われるだけのことはあると感心しながら、残りの三作を読んで打ちのめされました。
振り返ってみれば、どれも異様な犯行動機の謎物語です。アヴラム・デイヴィッドスンの「すべての根っこに宿る力」を思い出しました。アヴラム・デイヴィッドスンも凄かったけれども、こんなうつくしい物語に仕立て上げてしまう連城三紀彦はさらに凄いというか、卑怯者と言いたくもなります。
個人的に気に入ったのは「桔梗の宿」。とある作品の前例はこの話だったのかと思ったのですが、この話がそうだとしたら前例があると文句を言われても仕方ないでしょう。しかし、だからといって駄目というわけではなく、前例があったのはちょっと残念だった、という程度でしょう。
八百屋お七の話がこんな風に繋がるとは思いませんでしたよ。
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