二階堂奥歯さんという人と、二階堂奥歯さんの「八本脚の蝶」というサイトのことを知ったのは、二階堂奥歯さんが亡くなられた数日後のことでした。
時々、「八本脚の蝶」という存在を知らずに済んでおけば良かったと思うことがあります。何気なくクリックしたリンク先の、そこに書かれた言葉はそれだけ生々しく、そして衝撃的だったのです。
人が死んでも、その人がウェブ上に残した言葉はそのまま残り続けます。それはどこかの掲示板のログとしてであったり、ある日を境に更新のとぎれてしまった日記であったり、もしくはこの「八本脚の蝶」のように、訪れた人への最期のメッセージが残されていたりと…。
先日、この「八本脚の蝶」が一冊の本としてまとめられました。
そして、買うつもりは無かったのですが、たまたま書店で見かけたので恐る恐る手に取ってみました。
不思議なことにウェブ上で見たときとは違い、生々しさが消えています。何故なんだろうか。
少し感傷的ですが、たくさんの人たちの手を経て一冊の本となったからだ、と思うことにしました。
いい本です。思わず抱きしめたくなるようないい本です。
そして私は、言葉が、活字となり、一冊の本となることがどういうことなのかをあらためて教えられました。
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