2006 オールタイム・ベストSFを応募しました。
さんざん悩んだのですが、名作を選ぶというスタンスは止めて自分が偏愛しているものを選ぶことにしました。
【国内長編】
1.我が月は緑 今日泊亜蘭
2.上弦の月を喰べる獅子 夢枕獏
3.旅のラゴス 筒井康隆
4.敵は海賊・海賊版 神林長平
5.マイナス・ゼロ 広瀬正
「我が月は緑」はなんといっても題名がかっこいい。言語学に秀でた作者だけあって密かに言語学SFであったりもします。
「上弦の月を喰べる獅子」は「 野に咲く花は幸福せであろうか。」に対する回答にしびれました。
「旅のラゴス」は筒井康隆の作品としてはベストではないかもしれないけれども、あの当時の筒井康隆がこんな話を書いたとはという意味で奇跡的な作品。
神林長平であれば「あな魂」を取るべきかも知れないけれどやっぱり「敵は海賊・海賊版」です。
「マイナス・ゼロ」は大好きなタイムトラベルもの。
【海外長編】
1.火星夜想曲 イアン・マクドナルド
2.ハイペリオン ダン・シモンズ
3.ノ-ストリリア コードウェイナー・スミス
4.大いなる惑星 ジャック・ヴァンス
5.リングワ-ルド ラリイ・ニーブン
「火星夜想曲」が「ハイペリオン」を差し置いたのはやはり単体として完結させている点です。
「ハイペリオン」は四部作としてでも二部作としてでもなく、単体でこれ一冊。
一位と二位はSFとしての集大成という部分があるのでどうしてもはずせない部分があります。
「ノ-ストリリア」と「大いなる惑星」は偏愛度100%、もう無条件です。
「リングワ-ルド」はやはりその設定勝ち。
こう見ると、地球を買い取るとか、大きな惑星の冒険とか、大きな建造物での冒険だったりと大きな話が好きなのかもしれません。
【国内短篇】
1.踊るバビロン 牧野修
2.山の上の交響楽 中井紀夫
3.吹原和彦の軌跡 梶尾真治
4.人喰い病 石黒達昌
5.漂った男 小川一水
「踊るバビロン」は偏愛の極地。波長がぴったり合ってしまった以上、一位にするしかありません。
「山の上の交響楽」はなんといってもタイムスケールの長さとその一瞬の切り口の鮮やかさ。音を題材にしながら絵が見える点がすばらしい。
梶尾真治ならば別なのがあるだろうという意見もあるだろうけど、「物質過去射出機」のもつダイナミックさからこれになってしまいます。
「人喰い病」は理系SFの極北。ハネネズミの話でも良かったのだけれどもこっちの方がエンターテイメント性が高いので。
「漂った男」は設定のうまさとラストの一文が決まっているから。
【海外短篇】
1.鏖戦 グレッグ・ベア
2.しあわせの理由 グレッグ・イーガン
3.アルファ・ラルファ大通り コードウェイナー・スミス
4.彼らがやって来た前日に メアリ・スーン・リー
5.地獄とは神の不在なり テッド・チャン
変容した未来の人類を描かせたらベアは天下一品でした。
イーガンから一編を選択したのは、やはりイーガンははずせないというちょっと日和ってしまった考えから。
「アルファ・ラルファ大通り」は絶対はずせません。
「彼らがやって来た前日に」はアイデア的にはマシスンの「終わりの日」と同様、終末の前日の物語。たった一行それをほのめかす文章を書くだけで平和な一日の物語が全く違う物に変わってしまうという驚き。
「地獄とは神の不在なり」は理解不能な存在に意味を見いだそうとする点でレムと同じことをやっている。
コメント
海外長編は,あんまり数読んでいませんが,「ノーストリリア」は納得,ジャク・ヴァンスは短編はともかくも,長編は読んだことがないので…。
この間,古本市で,「大いなる惑星」が出ていましたが,買っといたらよかったかも知れません。「竜を駆る種族」もあったような…。
あと,ディックの「ユービック」とか,ステープルドンの「シリウス」とか,「地球の長い午後」とか「都市」とか。
海外短編,名目だけでも得意のはずなのですが,メアリ・スーン・リー
は知りませんなあ。最近の人なんですかね。
「アルファ・ラルファ大通り」は私も大好きです。
でも,どの短編が一番好きかなあ。
うーむ,目移りしそうな。
「大いなる惑星」は純粋な娯楽SFなので、ヴァンスであれば「竜を駆る種族」を取る人が多いと思います。ヴァンスを入れたのは再評価されて欲しいな、などというよこしまな考えからです。
「ユービック」「シリウス」「地球の長い午後」「都市」…いいですね。私も好きな小説です。もう一回考え直したらベストに選んでしまうかも知れません。
メアリ・スーン・リーは今のところ二編しか訳されていませんが、他の人が選びそうもないところから一編取りたいなと思ったので入れてみました。短編は選ぶのが難しいですね。