僕自身も数年前までは知らなかったのだが、重版出来と書いてじゅうはんしゅったいと読む。
それはともかくとして、僕はこの本を表紙だけしか見ていなかったので、出版社を舞台とした三頭身キャラクターの四コマ漫画もしくはギャグ系の漫画だと思い込んでいた。
なので、電子書籍化されたのをきっかけに買い、そしてページをめくってみたら驚いた。
表紙にかかれているようなキャラクターではなくリアルな頭身のキャラクターが描かれているのだ。
一瞬、間違った本を買ってしまったのではないかと思ったのだが、表紙は間違っていない。
ひょっとしたら電子データの方が間違っていて、表紙だけは正しくて、中身の方は間違っているんじゃないかと思ったけれども、読み進めていくと、出版社を舞台とした物語で、時々、表紙に描かれるような等身の低い絵で、主人公が描かれる。
いや、こんなふうな形で驚かされた漫画は久しぶりだった。
出版社といっても主人公が配属された部署はマンガ編集部なのでそこで描かれるのは漫画に関する出版のあれこれなんだけれども、伊達雅彦の『傷だらけの店長』が書店員から見た赤裸々な出版事情で、悲しくなる話だったのに対して、こちらは出版社側から見た出版事情で、決して明るい話ではないけれども、そこで描かれる人々の努力の物語に、なんとかなるかもしれないなあという、希望が見えて、それが正しいのかどうかは別として、読んでいて少し幸せな気持ちになることができるのは確かだ。
コメント