独裁者の城塞

復刊したハインラインの「人形つかい」の表紙を見て頭の中を「?」の大群が渦巻きました。たしか主人公は自分のことを「ぼく」と言っていたはずなのだけれども、表紙に描かれた人物はどう見ても自分のことを「ぼく」とは言いそうもありません。おまけに肌を見せるのを極端に嫌っているのかずいぶんと物々しい服装です。たしかこの物語は、なめくじ型の異星人が人間の背中に張り付いて人類を操るという話だったはず。そこでアメリカ大統領は取り憑かれた人間を見極めるために「みんな上半身裸になれ」って命令を出すことになったはずだ。これではまるで逆ではないか。というよりもこの表紙に描かれた人物は、主人公ではなく異星人に取り憑かれた人物なのだろう。そう思うことにしました。
で、気を取り直して。

ジーン・ウルフ著 / 岡部 宏之訳

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