カート・キャノン著 / 都筑 道夫訳
うーむ、さすがに古さを感じさせてしまう文章です。「金銭登録機」なんて言葉が登場しますが、「レジスター」とルビが振られていなかったならば何のことだかわかりませんでしたよ。当時とすれば当たり前のことでも、トンネルのことを隧道と訳すようなものです。主人公なんてルンペンです。ルンペンなんて今時使わない言葉ですよ。
ああ、でもしかし、その古さがたまりません。この本が現役だった当時に読んででいたとしたら、この面白さなんて理解できなかったことでしょう。その点ではナイスタイミングの復刊でした。
しかし、基本設定にはちょっと難があります。妻を部下に寝取られて離婚され、探偵許可証も剥奪された男がこの本の主人公なのですが、それだけでここまで人生転落するものだろうかというのが一つ目の疑問。もっとも毎回々々、自分を裏切った妻のことを思い出しては感傷的になる主人公なので、ここまで落ちぶれることもあるだろうと思います。しかしそう考えると今度は、ここまで落ちぶれているのにタフガイすぎる部分が謎になってきます。女が登場すればすぐに寝るし、喧嘩をすれば必ず勝ちます。ずいぶん都合の良すぎる主人公なのですが、話の方は面白いので許せます。そう、全8話なのですが、それだけで終わってしまうのが物足りなくなるほど面白いのです。都筑道夫が贋作した理由もよくわかります。
最終話の事件の真相なんて驚きです。だいたい予想はつくというか、今の時代では意外でも何でもない真相なのですが、なんとこの話、1954年に書かれた話なのです。さすが「暴力教室」を書いた作者だけあって先見の明があったというべきか、それとも今も昔も何も変わらないというべきなのだろうか。
ああ、でもしかし、その古さがたまりません。この本が現役だった当時に読んででいたとしたら、この面白さなんて理解できなかったことでしょう。その点ではナイスタイミングの復刊でした。
しかし、基本設定にはちょっと難があります。妻を部下に寝取られて離婚され、探偵許可証も剥奪された男がこの本の主人公なのですが、それだけでここまで人生転落するものだろうかというのが一つ目の疑問。もっとも毎回々々、自分を裏切った妻のことを思い出しては感傷的になる主人公なので、ここまで落ちぶれることもあるだろうと思います。しかしそう考えると今度は、ここまで落ちぶれているのにタフガイすぎる部分が謎になってきます。女が登場すればすぐに寝るし、喧嘩をすれば必ず勝ちます。ずいぶん都合の良すぎる主人公なのですが、話の方は面白いので許せます。そう、全8話なのですが、それだけで終わってしまうのが物足りなくなるほど面白いのです。都筑道夫が贋作した理由もよくわかります。
最終話の事件の真相なんて驚きです。だいたい予想はつくというか、今の時代では意外でも何でもない真相なのですが、なんとこの話、1954年に書かれた話なのです。さすが「暴力教室」を書いた作者だけあって先見の明があったというべきか、それとも今も昔も何も変わらないというべきなのだろうか。
コメント