ヒストリエ

なんとまあ「アクアリウムの夜」の稲生平太郎の新作が来年1月末に出る模様。なにやら新作を書き続けているらしいということは耳にしていたのだけれども、あの現実の境目からなにやら得体の知れない物が這いずり出してくるような不気味な話だった「アクアリウムの夜」から15年ぶりですよ。これは大いに期待です。
で、なかなか次が出なかったと言えば…。

ヒストリエ３

岩明均

一巻・二巻同時発売してからなかなか出なかった第三巻がようやく出ました。
「寄生獣」の後は、大きな話になりそうな題材であってもわりとこぢんまりと(良く言えば手堅く)まとめた話ばかりだったので読む方も歯がゆい思いをしていたのですが、「ヒストリエ」はどうなるのだろうか。
岩明均の描く主人公というのは飄々としているというか、直接世界を感じているのではなく、ガラス越しに世界を見ているようなかんじです。そのため読み手の方にも、主人公の悲しみや喜びなどがダイレクトに伝わってこないのです。読む方もなんだかガラス越しに世界を見ている感覚になります。ある意味、「熱血」というもに対して対極にあるような漫画なのであり、普通ならば欠点にしかならないのですが、それが欠点にならないところが不思議です。
描かれている物がダイレクトに伝わってこないので、この絵は何なんだろうと無意識に考えながら読んでしまうからなのか、あるいは感覚に訴えてくるというよりも思考に訴えてくるからなのでしょうか。