『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』アンドリュー・カウフマン

  • 訳: 田内 志文
  • 著: アンドリュー・カウフマン
  • 販売元/出版社: 東京創元社
  • 発売日: 2013/9/11

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そもそもタイトルが変だ。
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』
妻が縮んでしまったというのが何かの比喩を表しているのか、それとも本当に縮んでしまったのか。前者ならばまだしも、後者だったとしたらこの物語はファンタジーなのかそれとも幻想小説なのか、というよりも銀行強盗にあってそうなってしまうというところからして既におかしいのだが、そんなこともあってこの本は短篇集だと思い込んでしまっていた。で、実際に読み始めてみたら長編で、といいながらも130ページ程度なので中編といったほうがいいが、しかも比喩でも何でもなく、本当にタイトル通り銀行強盗にあって縮んでしまう話だったので驚いてしまった。
もちろん銀行強盗が魔法使いだったとか、人を縮ませてしまう何らかの機械の発明者だったとかそういうわけでもない。
ルパン三世はクラリスの心を盗んでいったけれども、この物語の銀行強盗は銀行を襲ったついでにその場にいた人たちの魂の五十一パーセントを奪っていっただけなのだ。
っしてその結果、主人公の奥さんはどんどんと背が縮んでいく結果となってしまう。
もちろんこれはなにかの比喩であると考えることもできるし寓話として読むこともできる。

妻への愛ときたら、努力を要すうえに、どんなにたゆまぬ必死の努力を積んだところで、なにも得られはしないのです

こんな文章を読まされたら考えさせられてしまったりもするのだが、認めてしまったら負けのような気もする。だからそんなことを考えなくても物語は楽しむことができるのだ、ということにしておこう。

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