都筑道夫少年小説コレクション（4）妖怪紳士

妖怪紳士といいながらも、見出しがいきなり「こじき紳士」ですから、どこが紳士なのだろうという気もしないでもありません。内容の方も、都筑道夫版「妖怪大戦争」というより、妖怪版「なめくじに聞いてみろ」といった方が近いかんじです。
お話としては恐ろしいことが起こっているはずなのですが、登場する妖怪がわりと有名な妖怪ばかりなので、あまり恐ろしいという気がしません。後半、ひだる神が登場したのには驚きましたが、ひだる神ってメジャーなのかな。
いま読むと、わりとチープな感じがしてしまうのですが、テンポよく話が進むので一気通読の面白さがあります。
第二部は第一部よりもさらに荒唐無稽。終盤の展開には思わず吹き出してしまいました。うーん。そこまで話を詰め込むのか。
ドラム缶の部分では、思わずにやり。映画「100発100中」でも使ったところをみると、よほど気に入っていたのか、それとも映像としてみたかったのか、どっちだったんでしょう。
「ぼくとボクとぼく」は懐かしい香りのするジュブナイルSF。ひょっとしたら、都筑道夫の唯一のSF長編じゃないのか、これは。