どうせならば「魔術師が多すぎる」の方を復刊してくれれば良かったのですが、律儀にというかダーシー卿シリーズの最初の話の方を復刊してくれたってことはそのうち「魔術師が多すぎる」も復刊してくれるということなのだろうか。
しかし、今読んでみると「魔術師を探せ」に限ってみれば、水準以上の作品ではあるものの無理して読まなければいけない内容でもありませんでした。しかしこれは、発売された当時読んでおかなかった自分が悪いだけでもあります。
科学の代わりに魔法が発達した世界で、殺人事件が起こり、それを魔法に頼らず論理的に解決するというのがこのシリーズの要なのだけれども、どの話もわりと地味。第一話は容疑者が少ないために意外な犯人という条件を考えてしまうとそれだけで犯人の予測がついてしまうし、第二話はどちらかというと謀略小説風。
第三話が、島田荘司ではないけれども冒頭の魅力的な謎という点では一番面白かったのだけれども、鍵のかかった部屋への侵入手段が安易な手段だったのでちょっと残念。しかし、順番的に面白くなっていくので次作の「魔術師が多すぎる」が読みたくなってくる。
こうして読み終えてみると、なるほどジョン・W・キャンベルJr好みの内容でもあるので、ミステリ系の雑誌ではなくSF雑誌に掲載された理由もよくわかります。日本ではミステリのレーベルで出版されたのだけれども、SFのレーベルで出版されたらまた、ランドル・ギャレットの評価も変わったのかもしれません。
でもなあ、ランドル・ギャレットといえば「銀河の間隙より」だよなぁ。
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