こうの史代
夫は甲斐性なし、妻は脳天気。
互いに好きあったわけではなく、親の勝手な約束で結婚してしまった二人の話。作者の言葉を引用するのならば、
互いに好きあったわけではなく、親の勝手な約束で結婚してしまった二人の話。作者の言葉を引用するのならば、
貴方の心の、現実の華やかな想い出の谷間に、偽物のおかしな恋が小さく居座りますように
こうの史代というひとは律儀な人なんだと思う。小さなコマの中にひたすら全身を描き続けているからだ。もっとも、勝手にそう思っているだけなので、本当に律儀な人なのかどうかは分からないが。
全身を描くことでの弊害もあるのだけれど、こうの史代の描く漫画は箱庭の世界を覗いているような感覚であり、見ていて微笑ましくなってくる。
今回はひとつひとつの話は3ページから4ページと短いものの、話数が多いのでボリュームがあり、さまざまな表現手法が盛り込まれているのでじゅうぶんに堪能する事ができる。
「夕凪の街 桜の国」が有名になったおかげで、次々と作品が単行本と化されていくのはうれしいのだけれど、あっというまに消費され尽くしてしまうのではないかと心配にもなる。
この本のタイトルどおり、長い道をゆっくりと進んでいきたい。
感想を書いてしばらくほっといていたら、インタビューが公開されていました。なるほど、「滝田ゆう」か。滝田ゆうを読んでいたのは昔のことだったので気づかなかったけれども、インタビューを読んで、納得しました。
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