梶原一騎伝

梶原一騎伝
斎藤貴男

コメント

  1. 梶原一騎伝―夕やけを見ていた男

    60年代後半から70年代に憧れを持って生きていると、
    「あしたのジョー」がやけに目につく。
    寺山修司はアニメの主題歌の歌詞を書き、力石徹の葬式の喪主を務め、
    矢崎剣介はセリフにマーカーを引き、
    よど号ハイジャック犯は「われわれは明日のジョーである」と宣言した。
    あしたのジョーの原作者が、梶原一騎であり、驚くべきことに
    巨人の星も、タイガーマスクも彼が原作である。
    作画が違うから、言われないと気づかないかもしれないが、
    これはもうエライことである。
    佐藤雅彦か小室哲哉かという勢いである。
    これだけの作品を残した梶原一騎だが、
    彼のことはあまり知られていない。
    知らされていないというほうが正しいのだろう。
    同世代の漫画家、手塚治虫については、そのエピソードが
    語られる場面が多いし、ブラックジャックは今もテレビ放送されている。
    どことなく神格化されている節もある。そこまでの作品かなぁとも
    思うけれど、パイオニアとしての評価かな。The Beatlesみたいだ。
    寺山修司に興味があり、あしたのジョーに興味を持った私は、
    梶原一騎にも興味を持ち、この本を買った。文春文庫を買うのは久々だ。
    なんて人生なんだろう。
    父親との関係、教護院。
    文学を志し、漫画の原作者という立場に葛藤する。
    事業に手を出す。暴力団と関係を持つ。仲間が去っていく。
    どれもありふれたことのようだが、一人の人間には、
    多すぎるほどのものが、彼には乗っかってしまったようだ。
    もし、彼が弱かったから、逃げ道を作り、没落していったっと
    簡単に言えれば楽なんだろう。
    しかし、弱くて逃げたようには思えない。かと言って、
    ジョーのように真っ白な灰になったようにも思えない。
    なんとも割り切れないところだが、
    その割り切れなささえも、あしたのジョーの中に
    既にあったのではないだろうか。
    ↑ぜんぜんまとまってないな・・・

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