米沢穂信
「クドリャフカの順番」の影響か、どうしても同傾向の話を期待してしまい話の中盤まではうまく乗れませんでした。正直、米澤穂信がわざわざ書く内容なのかと思ったくらいです。
が…中盤以降「クドリャフカの順番」の呪縛から逃れはじめると自分の考えが甘かったことを思い知らされました。今までの作品が謎解き重視のミステリだったのでついつい同傾向の話だと思いこんで読んでしまったわけですが、最初からハードボイルドミステリとして読んでいれば良かったのであります。
犬探し専門の主人公の元に人捜しの依頼が舞い込む。そして翌日、古文書の解読の依頼が来る。やがて何の関係もなさそうな二つの依頼が微妙に関係しあう。
ああ、この微妙に関係しあう部分がじつにうまい。
それにしてもオビに書かれたあの文章が、こんな意味合いで使われているとは思いもよりませんでしたよ。非常にビターな味わいの物語。せめてもう一作だけでも続きを書いて欲しい。
高校一年生には夢も希望も与え、高校三年生には夢も希望も与えるけれど厳しい現実を見せさせ、そして大人には夢も希望も与えず、厳しい現実だけしか与えない。なんという意地悪な作家なのだろう。
が…中盤以降「クドリャフカの順番」の呪縛から逃れはじめると自分の考えが甘かったことを思い知らされました。今までの作品が謎解き重視のミステリだったのでついつい同傾向の話だと思いこんで読んでしまったわけですが、最初からハードボイルドミステリとして読んでいれば良かったのであります。
犬探し専門の主人公の元に人捜しの依頼が舞い込む。そして翌日、古文書の解読の依頼が来る。やがて何の関係もなさそうな二つの依頼が微妙に関係しあう。
ああ、この微妙に関係しあう部分がじつにうまい。
それにしてもオビに書かれたあの文章が、こんな意味合いで使われているとは思いもよりませんでしたよ。非常にビターな味わいの物語。せめてもう一作だけでも続きを書いて欲しい。
高校一年生には夢も希望も与え、高校三年生には夢も希望も与えるけれど厳しい現実を見せさせ、そして大人には夢も希望も与えず、厳しい現実だけしか与えない。なんという意地悪な作家なのだろう。
コメント
犬はどこだ 米澤穂信
犬はどこだ米澤 穂信 東京創元社 2005-07-21by G-Tools
アトピーが原因で銀行員を続けられなくなった紺屋。学生時代に、犬探しのアルバイト経験があるから、という理由で、犬探し専門の探偵になろうと決めます。ところが、開業したとたん舞い込んで来たのは、失踪した美女探しと、古文書の解読、という、「本物の探偵らしい」仕事。昔から探偵に憧れていたというおしかけ助手のハンペーと共に、紺屋は二つの事件を調べ始めます。
二つの事件は、実はつながっていて、調査の過程でしばしば交錯します。読者にはそれがわかるのですが、登場人物は、紺屋が美女探し、ハンペーが古文書、と、担当を分けているので、そのことになかなか気がつきません。紺屋がその事に気がついたとき、真相が一気に明らかになります。
一ひねりも二ひねりもある展開、終盤のスピード感、読後の余韻。とても良かったです。ちりばめられた小さな笑いのツボも面白かった(オロロ畑とか…)。米澤さんを見直しました。続編希望します。