「オルタード・カーボン」リチャード・モーガン
ディック記念賞受賞とか、ハリウッドからの映画化の話とか、気合いの入った装丁とかで、上がりまくる期待値をむりやり下げる努力をしながら読み終えました。
結論から言えば、プリンだと思って食べたら卵豆腐だったけれども、それが意外とおいしかった。といったところでしょうか。
いろいろなSFのガジェットが詰め込まれていて、現在とは異なった世界が描かれ、異質なものを見せてくれそうな気配はするものの、世界は変わったけれども人間の根底を流れる物は変わっていないよというお話。ここまでの世界を作っておきながら、世界観を一変させてしまうようなセンス・オブ・ワンダーが全くないのであります。
とはいうものの、そういったことはSFとしてみた場合に自分が期待する一つの要素であって、それを無視するのであれば、SFの部分とミステリの部分はうまく融合していて、良くできた話であり、確かにハリウッドから映画化の来そうな話でもあります。
一つ一つのシーンが短く、テンポが良いといえば良いのですが、読者になんの情報を与えられずに主人公が勝手に理解して行動していくので、慣れないと少々読みづらいかもしれません。
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