朝飯を食べながらテレビを見ていると、作家の丹羽文雄が亡くなったというニュースが流れた。
名前だけは知っているが、この人の本は読んだことがない。晩年はアルツハイマーをを患っていたとはいえ100歳だったそうだから長生きしたといえよう。
で、作家で長生きというとSF者の私は、今日泊亜蘭を思い出す。もちろんペンネームで「きょうどまりあらん」と読む。今年で95歳だ。
今現在、最後に発表した作品は「我が月は緑」で、それ以降作者は沈黙を守っているのだけれど、この作品、戦後初のSF長編「光の塔」の続編で、なんと続編の予告をしてから30年経ってようやく書かれたものである。
ふと気になって、「我が月は緑」が何歳の時に書かれたものなのかこのページを調べてみることにした。雑誌連載開始がSFマガジン349号〈1987年2月号〉ということ。2月号は前年の12月に発売されるので、1986年、76歳の時に書かれたものであったことが判った。はっきり言って「我が月は緑」は76歳の人間が書いたとはおもえない程の傑作だ。
まぁ、それはおいといて。
で、ようやく本題に入ることになるのだが、同じサイトのこのページを見て驚愕してしまったのである。
400号〈1990年10月号〉『創刊400号記念特大号』
『マイクの選択』 アイザック・アシモフ
『ドリ・バングズ』 ブルース・スターリング
『太陽系最後の日』 アーサー・C・クラーク
『吹きわたる風』 チャド・オリヴァー
『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス
『広くてすてきな宇宙じゃないか』 ヴァンス・アーンダール
『順応性』 キャロル・エムシュウィラー
『深淵』 ロバート・A・ハインライン
『反対進化』 エドモンド・ハミルトン
『表面張力』 ジェイムズ・ブリッシュ
『現実創造』 チャールズ・L・ハーネス
『キャサドニアのオデッセイ』 マイクル・ビショップ
『死の鳥』 ハーラン・エリスン
『月の蛾』 ジャック・ヴァンス
『狂気の効用』 ラリイ・ニーヴン
『ドッグウォーカー』 オースン・スコット・カード
『鏖戦』 グレッグ・ベア
SFマガジン400号の記念号に掲載された海外作家のリストなのだが、記念号ということで名作ばかり取りそろえてある。そして当時SFマガジンを毎号購読していなかったわたしも、この号だけは買ったのだ。
というか、SFが好きだと公言している人間ならば、このラインナップを見て素通り出来るわけがない。このラインナップに関してもいろいろと書きたいことが出てくるのでが、それはまた別の機会にしておいて、驚愕の事実へと進もう。
いったい私は、何に驚愕したかというと、ラインナップ中の、
『反対進化』 エドモンド・ハミルトン
読んで見なけりゃわからないで、
入手困難で読みたくても読めなかった「反対進化」読み終えました
と書いたくせに、「反対進化」の掲載された400号をわたしはは持っているではないか。
買っても積読本にしてしまった本、多数。雑誌の場合掲載されている小説の大半は目を通さないわたしですが、当時「反対進化」を読まなかったはずがありません。
おもしろい本を読み終えた後、「この本を読んだという記憶をなくすことが出来たなら、もう一度この本を楽しむことが出来るのになぁ」と思うことが多々あるのですが、たいして記憶力のない自分でも、おもしろかった本に関してだけは忘れてしまうことがありません。
と、そのはずだったのですが、ほんとにそんな忘れてしまっていたとは…
好奇心、ねこをも殺すと言いますが、たった一つの何気ないニュースから、こんな事実を突きつけられるとは思っても見ませんでしたよ。
コメント
ファンタジーへの誘い
http://kdai-toshokan.web.infoseek.co.jp/ito.html
むかし、講談社から出版されたアンソロジー。
ラファティの「みにくい海」と、キャロル・エムシュウィラーの「順応性」は珠玉の短編。
ディックの「この卑しき地上に」も、もちろんイイ。
http://blog.goo.ne.jp/c