前作「ラスト・ワルツ」から二年。待ったかいがありました。
去年のベストワン漫画が「夕凪の街 桜の国」ならば、今年のベストワンはこれ!と言ってしまうのは早急過ぎるかもしれないけれど、候補のひとつです。
複数の登場人物の人生が複雑に交差する、いわゆるグランドホテル方式の物語ですが、この交差の仕方が実に緻密。隔月刊とはいえども雑誌連載でこれだけ複雑な物語を作り上げる手腕に脱帽しました。
序盤に描かれた何気ないひとコマひとコマが終盤になって組合わさっていき、登場人物たちの物語が次々とできあがっていく様は感動すら覚えます。
難点を言えば前作と比べて物語りが地味ということ。
前作は、ブラジルで作られた幻のオートバイの話、チェルノブイリ火災で生き残った消防士の話、おならが止まらなかった為にガガーリンに名誉を奪われたソ連の宇宙飛行士の話などでしたから無理もありません。
絵柄に好き嫌いが分かれそうですが、これを読まないのは人生の損失です。
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