児童文学がすごい(4)


「バッテリー」 あさのあつこ
最後はやはり、この小説。
なかなか野球シーンの登場しない野球小説。
今年ようやく完結したばかりなのだけれど、文庫でしか読んでいないので、まだ三巻までしか読んでいない。が、一巻だけ読んでもとにかくすごい。
主人公の原田巧というキャラクターが秀逸で、このキャラクターをうまく操ることが出来さえすればそれだけで傑作が約束されたようなものであるが、並の筆力では押さえきれないだろう。作者のあさのあつこでさえ主人公を押さえ切れてはいないのだ。しかし、ぎりぎりのところで押さえ込んでいる。押さえ込んでいるという言い方はふさわしくはないのだけれど、そう表現するのが一番近い気がする。
物語とは別のレベルで、主人公と作者のぶつかり合いが感じられるのである。
おそらく、文庫にならなければ手に取ることなどなかったかもしれない。そういう点では角川書店に感謝したい気持ちでいっぱいです。
と同時に、文庫版一巻の帯に書かれているように「こんな傑作を読んでこなかったのかと猛烈に反省」
文庫でしか読まないとすれば、最終巻を読むことができるのは何年か後になるのだろうが、子供だけに読ませておくのはもったいない。
いいから読め。

コメント

  1. Lazy bones より:

    野球もの

    『バッテリー』あさの あつこ著昔、本屋でバイトしていた時に、気になりつつも手を出さなかった作品。理由は単純。児童文学、ナメて ま し  たその内賞を取り、話題になり・・・2005

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