壁で隔離された施設の中で生活している子どもたち。
文明が崩壊し異形の化け物が闊歩する世界を旅する男女。
2つの物語が交互に描かれて、それぞれが全く異なる謎をはらんで、どこで2つの物語がつながっていくのか見えないままに4巻まできたけれども、ここにきてようやく2つの物語の繋がりが見えてくる。そもそも2つの物語は時間軸的に同じ時間軸なのか、それともどちらかが過去でどちらかが未来なのかもいまのところわからないのだが、なにしろ巧妙に伏線を張り巡らしてあっと驚く世界を魅せてくれる作者なので、この先の展開もきっと期待に沿う、いや期待をいい方向で裏切ってくれるだろうけれども、今回はちょっと読んでいて切なかった。
化け物に変異してしまう謎の奇病に冒された一人の人間を救うために、病魔に侵された幹部を切り取り、そして失った器官はそれを補う機械につなぐ。死ねば化け物に変異してしまうために死なせるわけにはいかない。そんなジレンマを抱えたままいる一人の男が物語前半のメインの人物だ。おもわず自分だったらどうするんだろうかと考え込んでしまった。
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