原作とだいぶかけ離れた展開になっていっただ、そもそも原作のほうはわりと淡々と客観的に描かれていたのに対して、こちらは原作では描かれなかった登場人物一人一人の血と肉を描いていたのだから当然といえば当然で、物語としてのクライマックスを考えると原作から逸脱するという方法を取らざるをえないだろう。
というわけで前巻から始まった一撃隊の最後の戦いがこの巻で終わりを迎える。そもそも勝ち目のない戦いで、何人死のうが目指すたった一人を暗殺すればいいという状況下でさすが松本次郎と言わんばかりの殺戮で手足はおろかはらわたも飛び散る。
うまいなと思ったのはこの戦いで刀の時代の終焉を予兆させているところだ。もちろん史実ではこの先に江戸時代の終わりがあり、侍の刀の時代は終わるのだが、刀に象徴される力がここでは別なものに負ける。それは単純な肉体の力の差を凌駕するものであり、うまいなあと感嘆する。
で、ここで物語が終わるのかと思ったらもう少し続いて次の七巻でこの物語は終わるのだけれども、じゃあそこで描かれるのはなにかといえば、そうきたかという話で、刮目してまとう。
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