全然ダレる気配もなくこちらの予想を上回る面白さだ。
ここしばらくはメインの物語を動かすことに主眼がおかれて魔物の生態系という部分から外れていたが今回はサキュバスをやってくれた。
サキュバスといえば夢魔で誘惑をして精気を奪ってしまう魔物なんだけれども、ダンジョン飯でもそこのところは同じなんだけど精気を絞られてしまった主人公たちの描かれ方が素晴らしい。思いっきり幸せそうな表情で精気が絞られているのだ。
で、見つめてしまうと魅せられてしまうサキュバスを退治するためには二人以上で立ち向かわなければいけないのだが、われらが主人公たちは次々と魅せられてしぼんでいってしまう。そもそも何処か間の抜けた主人公たちなので当然なのだが、新たにメンバーに加わった人物が最後の切り札となって難を逃れる。そこの部分が無理なく処理されていて一体何処まで後のことを考えて物語を作っているんだろうと感心するしかない。さらにはサキュバスの生態系もひねりを加えていて、ああこういう解釈ができるのかと惚れ惚れする。
そんな展開のあとでいよいよ物語全体の着地地点を見据えたエピソードが挟み込まれて、完璧な一冊となっている。
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