『国境のエミーリャ 2』池田 邦彦/津久田 重吾

第二次世界大戦で日本が敗北し、そして東西をソビエトとアメリカとで分割統治されてしまった、ありえたかもしれないもう一つの日本を舞台とした物語。そして時代は1960年代。
主人公は駅の食堂で働く女性だが、それは表の顔で裏の顔は東側から西側へ逃亡する人を助ける逃し屋。
前作で主人公の存在は警察にも知られて、主人公を追い求める人物もいるけれども、まだ主人公は追い詰められてはいない。基本的に一話完結で西側への逃亡を企てる人物の物語が主体だ。そのあたりは人情物的な要素が多分にあって、そもそも作者の絵柄からしてそういった話のほうが雰囲気があっているのだが、一方で鉄道ものを得意としている作者だけあってところどころで作者のそういった知識が物語の要となって登場する。毎回毎回、主人公は異なったルートで逃亡を手助けしていて、飽きさせない。
一方で主人公自身の物語も少しづつ明らかにされていき、とうとうこの巻ではSF的なアイデアが炸裂する。といっても目新しいアイデアではないのだけれども、まさかこの話にそんなものが登場するとは思わなかっただけに不意打ちだった。

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