閉塞的だった前二作とはうってかわって開放的だ。
それは舞台が東京とかニュヨークといった大都会から離れた楽園ジャマイカが舞台となっているからだろうか。
いやそもそも主人公は東京から離れてこのジャマイカにやってきたのだから、要するに閉塞的な場所から開放的な場所へと意識的であり、だから前作にあったようなここではないどこかを求める気持ちが存在しないのだ。
しかし、ここではないどこかへとやってきたからといってなにかががらりと変わるわけではない。
僕はレゲエには魅了されなかったけれども、この本には酒とレゲエと大麻と陽気なラスタマン。そしてジャマイカという自然。
主人公はこの場所にやってきてそして犯罪に手を染めることになるのだけれども、それさえも若さゆえの無謀な暴走といった陳腐な言葉で許してしまいそうになる。
これが東京やニューヨークといった場所での物語だったらこうもいかないだろう。
レゲエという音楽が人の根底の部分に根付いている場所だから許すことができるのだ。
そして再生の物語でもある。
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