『イン・ザ・ブラッド』ジャック・カーリィ

  • 訳: 三角 和代
  • 著: ジャック カーリイ
  • 販売元/出版社: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/10/10

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気が付かない間に、ジャック・カーリィの新作が出た。
前作の『ブラッド・ブラザー』を読んだ時に、シリーズ全作を最初から読まないといけないなあとブログに書いておきながら、未だに一作目から三作目までは読んでいない。
これじゃいけないと思いつつも今回もそのまま『イン・ザ・ブラッド』を読むことにした。というのも登場人物一覧を見ても主人公のお兄さんは出ていないし、解説を読んでも、この話から読んでも支障はないと書いてあったからだ。それに全作の内容もほとんど忘れてしまっていたしね。
今回は、合間に挟まれる主人公以外の視点でのエピソードがなんだかSFじみていて、さらには牧師のど派手な殺人事件や途中で起こる事件など、どことなくマイケル・スレイドっぽさがにじみ出ていいそうな感じなんだけれども、マイケル・スレイドよりは堅実で読者を悪い意味では裏切らない。まあマイケル・スレイドの裏切り方の方が個人的には好きなんだけれどもね。
読み終えた直後ははっきりいってそこまでいうほど傑作じゃないんじゃないかという気持ちもあったのだが、よく出来た物語というものはよく出来過ぎた故にすんなりと喉元を通りすぎてしまって印象が薄くなることもある。『イン・ザ・ブラッド』の場合もそんな感じで、終盤でのひねり具合というか、登場人物達の印象が次々と反転していく様は圧巻で、傑作であることには違いない。

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