『往生際の意味を知れ! 1』米代 恭

『あげくの果てのカノン』の米代恭の新作が出た。
前作は設定としてはSFだけれどもそこで描かれているのは男女のいびつな恋愛で、しかしSF設定の部分が絶妙に主題と融合していて面白かったのだが、じゃあ今度の新作はどうなのかというと今のところはSFではない。しかし登場人物がどこか変なのは変わりがなくその変な部分というのが恋愛に関する部分であるというところも変わりがない。たぶん、いまのところはだ。
主人公は会社員の男性で七年前にふられた元カノのことをいまでも好きで結婚したいとさえ思っている。すでのこの時点でいびつなんだけれども、その部分以外はごく普通の青年だ。
かつてその元カノを主人公にして短編映画を撮り、その映画が賞を受賞したという経歴があるが、映画を撮ったのはそれ一作だけでふられて以降は映画を撮ることもままならなくなってしまった。そんなある日、元カノから連絡があり、合うことになる。
そこからが更に異次元のいびつさで、どこがどう変なのかは読んでもらいたいのだが、前作では主人公がいびつであったのに、今回は視点人物ではないもうひとりの主役のほうがいびつだから、不安さは増す。
ここからいったいどんな世界を見せてくれるのだろうか。

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