『仙術超攻殻ORION』士郎正宗

再読したいなと思って電子書籍で買ったものの積読にしていたままだったので、反省して読むことにした。
もっとも積読にしてしまったのは何しろこの漫画が描かれたのは1991年と二十年近く前のことで、流石に古びてしまっているんじゃないかという懸念があったからだ。
しかし、読んでみると懸念は懸念にすぎず、いまでも十分に面白い。というか士郎正宗ってこんなにも面白い漫画を描いていたんだと感心するばかりな一方で、もうこの手の漫画には戻ってこないんだろうなあと思うと少し悲しくなる。
一巻できれいに完結しているので士郎正宗の漫画の中でおそらくは一番完成度の高い作品なんじゃないかと思う。
ページ内の情報密度の高さは相変わらずでコマの中だけでなくコマの外にもそれが及ぶのだが、それが駄目だという人もいるかも知れないけれども、それを含めてのすべてが士郎正宗の世界なのだ。しかしそういった部分をすっ飛ばして読んでも楽しめるようになっているのが『仙術超攻殻ORION』だろう。
日本神話や陰陽術といった和と中華を混ぜ込んだ仙術というテクノロジーが発達した世界は、よくもまあこんなアイデアを考えたものだと感心するし、これは影響受ける人が多いだろうなあ。もちろん、そういったガジェットだけではなく登場人物たちも躍動感に満ちていて呪文を唱える際の見得の切り方などもかっこいい。

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