前作の『秋期限定栗きんとん事件』が出たのが2009年のことだったからなんと11年ぶりの新作。
といってもタイトルを見ておや、と思ってしまった。というのもこれまでは春期限定、夏期限定、秋期限定と四季がタイトルとなっていたのに今回は地名である。たしか『秋期限定栗きんとん事件』でのあとがきで、次でこのシリーズは完結すると予告されていたのに、と思いつつ読んでみたらどうやら今回は番外編のようだ。エラリー・クイーンの国名シリーズにならってみたのだろうか、収録された四篇には地名がついている。
番外編だからといってこれまでのシリーズとなにか異なる部分があるというわけでもなく、強いていえば小鳩くんと小山内さんの二人の関係には全く変化がなくこれまで通りの状態を維持しているという点だ。これに関してはこれから書かれるであろう完結作を待つしかない。
四篇のなかでは三作目の「伯林あげぱんの謎」が変化球でおもしろく、謎としてはそれほど意外性はないけれどもキャラクターの使い方が面白く、ラストでそうきたかと思わずニンマリしてしまった。
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