漫画で描き下し単行本でもってデビューというのはなかなか少ないケースだと思う。
雑誌に掲載されてデビューと比べると認知度という点では不利かもしれないが、ネット上で第一話がまるまる掲載されていたり、他の作品もネット上で読むことができるので、事前にどういう傾向の作品を書く人なのかということについては確認できるので、書店で見かけて気になった人はチェックしてみるといい。
少なくとも、表紙の青い空と白い雲の配色とその手前にシンプルな線で描かれた少女の絵を見れば、気になる人は多いんじゃないかと思う。
一コマにおける空間の取り方が実に気持ちよくってこの空間を眺めているだけでも心が満ちた気持ちになることができるのだが、見開きのうまさもあなどれない。
的確な場所で的確な構図でいきなり眼前に広がる一枚の大きな絵は衝撃的だ。
もちろん素晴らしいのは絵だけではなく、その絵でもって描かれる物語のほうも素晴らしい。表紙の絵から彷彿させる、ひと夏の淡い感性の物語なのだ。
でもって、それらが僕の好きなSF風味の味付けになっているからたまったものじゃない。
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