『キャプテン・フューチャー最初の事件』アレン・スティール

アレン・スティールはぽつりぽつりと短編が翻訳されたっきりで長編や短編集が出ることもなく、ある意味翻訳のエアポケットに陥っている作家だったけれども、ようやく長編が翻訳されることになった。
といってもオリジナルではなくエドモンド・ハミルトンの<キャプテン・フューチャー>シリーズをリブートしたものだ。
アメコミのヒーロー物映画のようにオリジン、つまりヒーロー誕生までの物語の部分を描いたもので、オリジンそのものは嫌いじゃないけれどもキャプテン・フューチャーに関してはオリジンなんて必要ないじゃないかと思う部分もあった。そもそも原作からしてヒーロー誕生の部分が描かれなかったわけだし。
とはいえども、スペース・オペラの世界を現代に蘇らそうとすれば、リアルにするかそれとも荒唐無稽な部分は荒唐無稽としてレトロ・フューチャーとして描くかそのどちらかで、アレン・スティールはリアルのほうを選んだというわけだ。
主人公カーティスのことを周りの人達はカートと呼んでいる部分はちょっと引っかかったけれども、全体的にリアルになった分、オリジナルにあった破天荒な荒唐無稽な面白さがなくなってしまったのはやはりちょっと残念。とはいっても今回はキャプテン・フューチャー誕生の物語で主人公もまだ若く、至らない部分もあるということを考えるとこのくらいが妥当なところでこれ以上破天荒にしてしまうと辻褄があわなくなってしまう部分もある。
続きも書かれているとのことでそちらも翻訳されるといいなあ。

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