主人公は女子高生。ミュージシャンの父親と二人暮らし。母親はいるのかいないのかは不明。
彼女のクラスには九州から転校してきた八尋くんという男の子がいる。主人公は彼と図書委員となってしまったために図書室で彼と行動をともにすることになる。
八尋くんは主人公の父親の音楽グループ、花と頬の大ファンで主人公の名前が頬子であることから主人公が娘であることを知る。
図書室では小うるさい司書のおじさんがいるために会話はできないが、二人はノートに文字を書いて会話をする。文字で書くために質問の内容やその返答はわずかな文字でしかないが、主人公は使い終わったそのノートの切れ端を自分の部屋に貼っていく。
事件らしい事件はなにも起こらない。主人公の気持ちはノートに書かれた八尋くんへの質問や、彼が聞いている音楽を聞いてみる、そういった端々の彼女の行動から立ち上ってくる。いっぽうで八尋くんの気持ちはどうなのかといえばそこは曖昧なままだ。
八尋くんが主人公に好意をいだいているのは彼女が自分の好きなミュージシャンの娘だから。そういう思いを捨てきることができない。
自分は父の作成物ではない。
ああ、いいなあ、この物語は。
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