八木ナガハルの商業出版三冊目。一部共通の世界設定を持ったシリーズがあるけれども時系列的に流れていくのではなくパラレルに描かれているのでどの本から読んでも差し支えないのだけれども、さすがにこの本から読み始めるというのは今回ばかりはハードルがちょっと高い。
冒頭の話は三話でひとつながりなのでボリュームがあるが、これまたとんでもない話だ。ハサミが意識を持って人類、というか主人公たちを支配化に置こうとするという話なのだが、人類を支配してなにをするのかといえばハサミを製造させる使役につかせ、そうして出来上がったハサミも意識を持ってその勢力をひろげていく。ここで問題となるのはなぜハサミがそのような意識を持ち、知能を得たのかということなのだが、ハサミ自身はたんなる鉄の塊で、そこになんらかの意識が存在するような仕組みは持ち得ていない。そこから様々な小ネタが投入されてそして一つの結末に結びつくのだが、そのたどり着く結末がいかにも八木ナガハルの世界らしい結末でもある。
前巻と同様、物語と物語の合間に作者による解説のようなページが挟み込まれていて、こちらも面白く、エネルギーに過剰なまでにエネルギーを投入し続けると物質が飛び出すという話は、それが正しいのか正しくないのか判断する知識が僕にはないのだけれども、間違っていたとしてもその発想が面白い。
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