『サマータイムレンダ 9 』田中 靖規

怒涛の展開だった前巻と比べると今回は敵との直接対決がない分、ちょっと中休み的な状態。
といっても物語は進んでいくし、まだまだ目が話せない状態だ。
今回は敵味方ともに今まで描かれてこなかった過去の部分に関してのエピソードが描かれていく。
味方はもちろんのこと、敵側に協力する人物も何故そのようなことをしたのかということが明らかになっていく。
一方で、主人公の特異な能力に対してちょっとした新しい設定らしきものがさりげなく追加されていたのにはちょっと疑問点もあった。
もちろんそれがゆくゆく重要な要素となるのかそれとも単にご都合主義的な設定にすぎないのかはまだわからないので判断は保留としておこう。
登場人物のエピソードが次々と描かれていく中で最後に重要人物に対するエピソードにたどりつく。
残念ながらそのエピソードはこの巻だけでは描ききれていないので続きは次巻を待つしかないのだが、時間ループ物として始まったこの物語がSFとしてだけではなく伝奇的な要素も引きずり込んでハイブリッドな物語としてどこまで突き進んでいくのか楽しみだ。