『青野くんに触りたいから死にたい 6』椎名 うみ

同級生の青葉くんを好きになってしまった主人公。
思い焦がれる勢いに任せて告白したところ、相手も好意を持ってくれて付き合うことになるのだが付き合い始めて二週間後、青野くんは交通事故で亡くなってしまう。
しかし、青野くんは失意に悲しむ彼女の前に幽霊となって現れる。
でも幽霊なので触れ合うことはできない。
そこでタイトルにもある、青野くんに触りたいから死にたい、である。彼に触れることができるのであれば死んでも構わない。
というところからもわかるようにちょっと思い込みの強すぎる女の子が主人公の物語なのだけれども、最初は彼女と幽霊の青野くんとのバカップルぷりがおもしろいコメディ要素が強かったが徐々にホラー要素が強くなってきた。とくに四ツ首様が登場したあたりからほぼ完全にホラーとなっていて、当初の雰囲気とは異なり始めてきたが、その一方で主人公はまったく成長していない、いや少しは成長しているけれども、そんなわけで、ホラーに切り替わっても違和感はまったくない。むしろ主人公がこういう性格であるがゆえににじみ出てくる怖さというものがあって、半径30センチの範囲ははっきりと見ることができるけれどもその先を見ようとすると突然それまでの風景がまったく違ったものになってしまうかもしれないという恐怖がある。

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