『21世紀SF1000 PART2』大森 望

まえがきで著者が、以前よりも本を読むスピードが遅くなってしまったというようなことを書いていて、ああ、やっぱりみんな通る道なんだなあと、少しさびしくもあり、それでも受け止めなくてはいけない事実なのだなと思った。
僕自身も確かに昔よりも本を読むスピードが遅くなり、さらに理解力の衰えも感じ始めたし、とはいっても活字の本を読む量が減った割に漫画のほうは増えたり、その一方で自分でも小説を書くことをしてみたりと小説を読むということ以外のものが増えてしまったという部分もあるのだけれども、それでも本を読むという行為にも体力が必要なのは事実で、老化による衰えは確実に読書に影響を与える。
と自分のことはさておいて、著者はそれでも出版されたSFの9割はカバーできているんじゃないかと言っていて、衰えてもそんだけ読んでいるのかと、すごい人はやっぱりすごいのである。
本が読めていないので未読の本がたくさんあるだろうなあと読み進めていくとやっぱりそのとおりなんだけれども、じゃあその中から面白そうな未読の本が大量にあるかといえばそうでもなく、そう考えると、めぼしいものはそれなりに抑えているじゃないかと安心したりもする一方で10年一昔とはよく言ったもので、あの作品はそんな昔の作品だったのかとか、この作品はもっと昔だと思っていたら意外に最近だったとか変な部分で驚きに満ちていた本だった。
で、9割はカバーしているということでじゃあ残りの1割、つまりこの本の中で取り上げられていない本はなにかあったのかと調べてみたら二冊あった。
一冊は、東宣出版『バイクとユニコーン』ジョシュ。キューバの作家ということでかなり珍しい一冊。
もう一冊はSFとは言い切れないのだけれども、作品社『国枝史郎伝奇風俗/怪奇小説集成』国枝史郎。こちらは国枝史郎が翻訳した海外の作品が収録されていてそのなかにエドモンド・ハミルトンの「獣人」が収録されている。「獣人」は厳密にいえばSFというよりやはり怪奇小説になるけれどもSF作家エドモンド・ハミルトンのおそらくは日本で初めて翻訳された作品だ。

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