『ブラステッド』室井大資

『レイリ』の室井大資の旧作。
僕は『レイリ』で初めて室井大資を知ったので過去の作品は読んでいなかった。
調べてみると電子書籍化されてる旧作が何作かあるのでいくつか読んでみた。
室井大資は大きく分けるとコミカルな話とシリアスな話の二系統があるようだ。『ブラステッド』は後者の話。
一方で室井大資は漫画原作のほうもやっていて『バイオレンスアクション』という漫画がそうなんだけれども、これの作品のバイオレンス感はなんともいえなくって、人を人とは思わない扱い方が凄まじい話なんだけれども、『ブラステッド』を読むと、ああすでに室井大資はそういう資質を持っている人だったんだなあということがよくわかる。
主人公は非認可のクラブや裏カジノを仕切っているヤクザ。しかし成り行き上そういう世界に足を踏み入れてしまっただけで、当人は腕力があるわけでもなく、できる限りヤクザの世界から離れたところで生きていきたいと思っている。
しかし些細なトラブルが彼を暴力の世界に引き入れてしまう。
登場する人物は一癖も二癖もある異常な人間ばかりで、『バイオレンスアクション』に登場してもおかしくない。人を殺めるというよりも人体を壊すことになんのためらいもない。それでいてグロテスクさがないのはカラッとしているからだろう。乾いているのだ。乾ききっているから粘りがない。悲しみもない。

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