休載が続いて、それでも『アルスラーン戦記』のほうは連載が続いているので休載の理由そのものはそれほど深刻なものではないのだろうなあと思いつつ再開されるのを気長に待っていたら連載再開となってこれでまた楽しむことができると思った矢先に完結してしまった。
たしかに作中の時間の流れの中では受験が近づいてきているので高校生活だけを描く予定だったのだとしたら残り一巻分くらいで終わるだろうなあと思う反面、エピソードを詰め込めばもう二、三冊くらいはいくんじゃないかと思っていたのだ。
ということでひょっとしたら駆け足的に進んでいくんじゃないかという一抹の不安も持ちながら恐る恐る読み始めていくと、そんな杞憂など忘れてしまった。少なくとも物語の密度は薄くもなく濃くもなく、適度な密度なのだ。というよりも、主人公自身が成長しているが故に、それまでとは決定的に違うことを感じさせる。
それは少し寂しさも伴うのだけれども、大学生活編まで続くよりもきっぱりと終わってさらにはその先の広大な未来を予兆させるビジョンまでみせてくれたのだからこっちのほうが良いに決まっている。
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